「斉藤はアクだもんな」

あく?

空く?飽く?灰汁、握… 悪?

「何が悪いんだよ」

「その自覚の無さがなー」

「…コレは悪いこと?」

「あ、ばか、やめろってこんなとこで…」

抵抗は口先だけ。
すぐに自分から動きだす。
佐藤はいつもそうだ…

「サイトー…。マジで俺の他とは、誰とやった?」

「男社員全員」

「ははっ、そりゃスゲー。あ、副部長」

「そう、副部長とも―…」

「やったんですか?」

『うん』

…え? 今、佐藤に答えたのは誰?
っていうか、佐藤君、どこ見てるのかな―…

振り返ると

「斉藤」

「はい…副部長」

「ちょっと来なさい。話がある」

「はい。ははは…行ってくるよ佐藤」

「斉藤、元気でなー」

…一生の別れのような挨拶はやめて欲しい。


それから、
会議室に連れていかれ、問い詰められているところに
村崎さんが書類を持って現れ、聞かれるままに
正直に俺とやったと言うものだから、もう言い訳どころではなく、カラダでごまかそうにも

「よるな!」

と、汚らわしい物を見るような扱いで、

「君に任せたのは失敗だった。
 それに、今の部署は相応しくないようだ」

と、この場で明日の仕事から外されたばかりか
左遷まで決定した俺は、もはや忘れ物がどうのと
言ってる場合ではないのだった…



         GAME OVER