「隠れてるんだ……はっ!」

…タッタッタッタ

軽快な、駆け足の足音がこっちにむかってくる。

「ヤバい!頼む佐藤、俺はいないと言ってくれ!!」

角に置いてあったゴミ箱を除け、
冷蔵庫と壁の間に無理矢理入る。

「なんだ?」

佐藤が呟き、物音がー…

「いたー!!」
「斎藤さんー!!」

「え?痛ぇーっ、なっ、なんだ?なんだよ!?」

「あ…ごめんなさい、人違いです」×2

人違いでも痛い目みるのか…
見付かったら殺される…

「斎藤さん知りませんか?」×2

「ああ…」

佐藤は納得したような相槌を打った。
そうそう、だから俺はいないと言ってくれ。

「斎藤ならソコ」

ぎゃー

「あーっ!!」×2

見付かってしまった…

引きずり出される俺を見て、
さも面白そうに斎藤が笑っている。

「ご協力感謝します、佐藤さん」×2

双子はそれぞれ、俺の腕を掴んだ。
空いてる方の手で佐藤に敬礼する。
犯罪者と警察官じゃないんだから…
佐藤だけが愉快そうに、

「いやいや、弟達の手助けをするのは当然の事さ」

「はぁ?」×2

…いやな予感。

「ほら、言うじゃん。同じ男と寝た者同士を」

掴まれた腕に、ぎりりと圧力がかかる。

「さ・い・と・う・さ〜・んん…」×2

ぎゃああぁーー


…それから、
忘れ物どころか、大事な商談さえ、あると言っても
信じてもらえずに3日間監禁された。

仕事は当然大失敗、かと思いきや、
某同僚が代わりに完璧にこなした、らしい。

俺は、無断欠勤3日でクビになった…


          GAME OVER