俺は真中の肩を掴んで瞳を強く見た。

「何を誤解しているのか知らないが、
 やましい事など何もない。信じてくれ」

「他の人達とは何もなかったんですか…?」

「そうだとも!」

俺は理解した。
だから真中をおとせなかったのか。

他の男の事なんか気にしなくていいのに…
さぁ、この胸に飛び込んでおいでっ。

「でも、佐藤さんとは…」

「無い!!」

「…佐藤さんからは本人に聞きましたけど」

うっ…、しまった。
まさかそんな事が…

「違うんだ、そういう意味じゃなく俺はただ…」

「斉藤さん〜…僕達を忘れてませんか?」×2

忘れてないけど…双子さん達のことは…
計算に入れてませんでした…

「やっぱりサイテー」

真中の言う通りだと、俺も思う。



双子にも真中にも最大限に嫌われて、
俺はトイレを後にした。

こんな事になるとは…

…いいさ、俺には仕事があるさ。

「ない!!!」

7階オフィスの俺の机、あるはずの手帳が
どこにもないのはなぜだ!?

机、ゴミ箱、床、横の机、そのむこうの机、
植木鉢の中まで探したがどこにもなかった。

一緒に探してくれた人達は、こう言い残して
先に帰って行った。

「そういえば、真中が机拭いてたから、
 その時見なかったかきいてみれば?」

「廊下に落としたんじゃないのか?
 警備の人に聞いてこいよ」

…聞けねぇ。

また探す。→やっぱりない。→携帯に電話して聞く
→相手にしてくれない。

それから、
深夜まで自宅を探したが、手帳はどこにもなく、
情報も自信もない状態でむかった仕事は
もちろん失敗したのだった。


  
       GAME OVER