ビル前 03:12
今日はいいか。帰ろうっと…あ、そうだ
「それ、洗ったらもう帰るんだろ?」
「ええ」
「帰り、車で送ろうか?
もし電車の時間が合わなかったら
もっと帰り遅くなるしそれに―…」
真中は手を止めて、鏡越しに俺を見た。
そして
「そうしようかな」
と言った。
「本当に?」
「でも片付けて、もうすこし遅くなりますから、
先に車…」
「わかった、待ってるから!」
こんなことで成功するとは!
ついでのような気軽さが必要だったのか!
駐車場までにやにやしながら走った。
…それから、
車で待っているのに真中は来ない。
遅くなるって言ってたからな〜、って
2時間待って3時間経ったところで思った。
「そうしようかな」→考えただけ。
「遅くなります、車に…」→断り。
ふ。
今日もしてやられたか。
はっ。
手帳とりに来たんだった!
会社に向かうも既に遅く、全社員が帰り
完全に戸締りされていた。
明日、会社が開いてからでは飛行機に
間に合わない…
結局、うろ覚えで向かった仕事は、
当然、
失敗したのだった…
GAME OVER