獲物を狩るのに失敗した私は、忍におぶってもらい
城へと戻った。

…一生の不覚だ。

傷を悪くして寝込む私に、
なにが楽しいのかにこにことして銅が
かいがいしく世話を焼く。

以外にも忍は嫌味の一つも口に出さず、
毎日なんだかんだと薬を運んできた。

そして迎えた新年会は、
散々たるものだった。

黙って配下の国々の王が見せびらかす
自慢の品々をただ見ているしかない。

特に、西の王には我慢が切れた。

切り殺そうと
剣を預けた忍を呼ぶと、場内がシンと静まった。

忍の手には何も握られておらず、
私の意図に気付いたのではない。

つまり、私が思うより忍は有名だったという事だ。

忍は今まで見た事も無い、
完璧な礼儀作法で私に跪いた。

王達は、忍を飼いならした王だと私に賞賛を送った。




「わかっているなら、いつもそうしろ」
「何が?」
「その態度だ」
「かしこまりました、我が君」
「…気味が悪い」
「ちぇ、ワガママ王様め」
「何か言ったか?」
「何も」


忍のお陰で面目は保ったように思えるが、
狩りに失敗したあげく、傷を負い、
その傷がまだ癒えていないこの私のこの国がどうなるのか
明日の運命すらわからない。

今年はどんな1年になるのだろうか…

不思議と不安はない。
何があっても打ち勝つだろう。

「なぁ、忍」

呼ばれて忍は首を傾げた。
だが、こう返事した。


「はい、王様」