私はテーブルにあったワイン瓶に手を伸ばした。

閉めなおしただけのコルクを抜いて、
瓶を咥え、口にワインを流し込んだ。

かっ、と熱いアルコールの熱が喉から内臓へと広がる…

「ぐ、ぐえっ、げほっ、げほげほ」

銅が持っていた物を投げ捨てて私に駆け寄った。

「あーあ、じぃさんじゃあるまいし、がっついて飲むからだぜ」

そう言った忍も、私があまりに咳を続けるのが
次第に心配になって側に来た。

「王様、おい、大丈夫か?」

背中を擦られたくらいでは、この肺の痛みは消えそうにない。

「ど く?たいへん…」
「おい、王様、王様よおっ」

大丈夫だ。

「…かはっ」

言葉の代わりに熱い塊を吐いた。

見るとそれは鮮血だった…

「やー いやー 血いは、いや、の、銅、お…うさま、ふぇ…」

泣くな銅。

「しっかりしてくれよ、おい、俺…こんなの、どうしたらいいかわかんねぇよ!
あんた、俺の王様だろ、ずっと言う事聞けって言ったじゃねぇか、
何でも聞くから、どうしたらいいか言ってくれよ、
俺に命令してくれよ王ー!!」

お前まで泣いたらおかしいぞ忍。


どくどくと、言葉の代わりに口からは血が溢れ出す。

不思議なのは、私が死ぬような事があったら
さぞかし喜ぶだろうと常々思っていたこの二人が
泣いている事と、
もうすぐ死ぬだろうというのに、

まったく、

恐怖心。が、

無い








もしか

したら、





いうの



消えず



残る

もの

なの

だろうか。



なら







お前



元に





ずっ











もって











































なぜ、それを伝える事が出来ないんだ!





























私は最後の血を吐き、息絶えた。