それから数年後…
…僕は元気です。』
何年も連絡のなかった息子ですが、
最近は生活が落ちついたようでよく旅行をしては
その旅先から手紙をくれるようになりました。
本人はそのつもりはないのでしょうが、
出先からの手紙では居所がわからず
あなたは嬉しい反面かすかな寂しさを感じます。
『…−ですね。ところで、父さんは来月の連休はお暇ですか?
よかったら一緒に旅行しましょう。また連絡します』
嬉しい誘いですが、なんとなく予感がします。
「あいつ…紹介したい相手でもできたかな」
あなたは手紙を置いて立ち上がり、
アルバムを取り出しました。
幼い息子の写真に目を細めます。
「息子は手を離れてしまったから、次は孫を楽しみにするか…」
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息子は無事に育ちました。普通の大人になったので、
あなたは良い親だったと言えるでしょう。
子育てお疲れ様でした。
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