それから数年後…
…あの時、息子はあなたにそう言いました。
「お前、いつまで家にいる気だ」
「だって父さんがいろって言ったんじゃないか」
息子は定職にもつかず、
近所をぶらぶらしたり、家でごろごろしたりする
そんな毎日を繰返しています。
「結婚しようとか子供が欲しいとかこう…思わないか?」
「別にぃ…。ごちそうさまでした」
食事を終えた息子は真っ直ぐにソファーに向い、テレビを点けました。
おかずは食べのこしたくせにお菓子を食べています。
「あのなぁ、お前…」
「何?あ、美味しかったです。ありがとう」
「…どういたしまして」
このままではいけないと思いつつ、やっぱり息子がいないと寂しいかも…
そう思ってしまうのでした。
「あ。 欲しいものならあるよ、僕」
「なんだ?言ってみろ」
「新しいゲーム。おこづかいちょうだい」
「…今週分はもうやったぞ」
「足りないもん。ちょうだい。ねぇ、いいでしょおー?」
「……」
「おとうさぁん」
自分で稼げ!そう怒鳴ろうと息を吸ったとき、息子がこちらへ来て
あなたの後ろにまわりました。
「お願い」
後から抱きついて、肩越しに顔を覗き込んできます。
「…3万で足りるか?」
「うん!ありがとおー」
「…嬉しいのか?」
「うん、嬉しい。しあわせv」
しあわせだから、ま、いいか。
今日もあなたはそう思うのでした。
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とりあえず、息子は育ちました。
■end