「僕は?」

「え…えーと、えーっとねぇ…」
「…もういいよ。でも、僕だって4年経ったらかっこよくなるんだよ」
「………」
天君は黙っている。結構キビシイな…。そう思っていると、
「4年後かあ…」
天君は遠い瞳をしてそう言った。

「ボク、これから4年経ったらどうしてるんだろう…」
そう言った天君の声は語尾が震えていた。
何にも心配する事なんてないように思うんだけど?
「4年後もやっぱり天君は女の子にいっぱい囲まれて幸せに暮してるんじゃない?」
「5年後は?」
「それから1年後でしょ?一緒だよきっと」
「10年後は?10年後も?」
「20代だから、もっと…。天君、どうしてそんな事思うの?」
「えっ、それは…」

「はい、どうぞ。どっちがいい?」
「あ、ありがとう兄ちゃん」
グラスに、ストローとハイビスカスの花が差してある赤い飲物を、兄ちゃんが持ってきてくれた。
「兄ちゃんこれ、両方一緒に見えるよ。なにが違うの?」
「両方一緒。聞いてみただけ」
「ボク、こっちがいい。こっちの花が大きいの。いい?」
「うん、いいよ。僕はこっちのストローのほうが青い線だからこっちの方がいいな」

それから、洋兄ちゃんも椅子に座って暫くの間、一緒に話をした。
「じゃ、そろそろ戻ろうかな」
「うん。兄ちゃんジュースありがとう」
「最初はなんでこんなかわいい子が友達なんだろと思ったけど、気が合うみたいだな」
「まあね。美少年同士だから」
「…ごめんね、天君。見捨てないでこれからも仲良くしてやってよ」
「は、はい」
「兄ちゃんに言われなくても仲良くするよ」
「じゃあな」
空になったグラスを持って、兄ちゃんは仕事に戻って行った。

天君は言った。
「ボク、仲良くできるように頑張る」
…それほどバカだと思われたのだろうか僕は。

さて…

「天君、何したい?」