「無理無理無理無理。今日は無理っ」
「……わかった」

それから僕達は何もなかったかのように洋兄ちゃんとすこし話をして、
また楽しく遊んでプールを後にした。

帰りはパスで帰って、沢村の家に自転車を取りに寄って、
ついでに上がって晩御飯まで食べて帰った。

僕は沢村がすっかり気に入ってしまった。
勿論、友達として。

新学期が始まる頃、僕等は親友になっていた。

思慮深く聡明な僕の友達は
あいかわらず片想いしてる僕を理解して穏やかに見守ってくれる。

僕が兄ちゃんと恋人になれても、他の人を好きになって他の男の人と付合っても
沢村ならばずっと僕と友達でいてくれるだろう。
たくさんの本を読んでいる彼は偏見など持たない人だ。

最近、沢村にも好きな人が出来たらしい。
彼は多くを語らないから、誰を好きなのか知らないけど、
沢村が僕にしてくれるように、僕も、彼の恋の力になりたいと思う。

                        END