「僕ね、洋兄ちゃんに遊んでほしかったの」
…どうだ。自分でもかわいく言えたと思うっ。
側に来ていた彼女が何かいいたそうに洋兄ちゃんの顔を見たほどだ。
兄ちゃんは…
「そっか、悪いな。俺は今から出かけるんだ」
と、あっけなく僕を拒んだ。
「やっぱり無理かなあとは思ったんだよね…」
「今日はお詫びにコレやるから、友達とでも行ってきな?」
洋兄ちゃんはそう言って、僕に紙切れを差し出した。
受け取ってよく見ると、それは遊園地のプール券だった。
兄ちゃんがくれるものなら何でも嬉しい。
「ありがとう」
素直に礼を言うと、
「ん。また今度遊んでやるからな」
そう言って、洋兄ちゃんはもう一度、僕の髪を撫でてくれた。
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