個室 21:15
「ヤバい…そうだ、こっち来て」

「あ、…」

便座に蓋をして座る。
横向きに、お姫様だっこで副部長を膝に抱いた。

「足、上げててね」

「うん…」

会社で、くっつくのははじめてだ。

シャワーを浴びてないから、整髪料の匂いがする。
ゴワゴワするシャツとかたく触れるネクタイの結び目と

洗い物してる水音…
しかもなかなか終らない。

あのなー、
トイレはな出してすぐ出ていく場所なんだよ!
洗濯ならヨソでやれ!

見知らぬ誰かに心で文句言う。

ああ〜、さっき出てればよかった。
腕しびれる。脚いてぇ。

副部長はというと、うっとり目を閉じ幸せそうだ…
幸せならいいか…ダメだ。
上げた足が震えてる。

かわいそうだから、壁に足がつくようにしてあげよう。

「あ」

「わっ」

体制を崩して、おっことしてしまった。
副部長、背中からまともに…

「いた〜…」

「ごめん、ごめん、大丈夫?」

助け起こすのに狭いから、つい鍵を開けた時、
トイレの手洗いで洗濯してた奴が、
物音を聞いて様子を見にきた…


        君は…