真中雅十■19歳



「斉藤さん…。副部長?」

「や、やぁ真中。こんなところで何を…」

彼は雑巾を持っていた。
そうか、さっきじゃぶじゃぶしてたのはコレだったか…

「帰る前に掃除しないといけないんです」

どうせ朝の掃除があるのに面倒な事を…
我社の女社員達には妙なルールが沢山ある。

アルバイトを女性限定で募集していた頃は
次々と入っては辞めていった。
美少年の真中は人事課の最後の希望なのだ。

「仲良いですね。こんなところで…」

明かに冷めてる皮肉な口調だ。

俺のカンではおとせるはずの子なんだが、
どうも上手くいかず、何度も口説き損ねてるうちに
すっかり人格評価を下としてしまっている。

副部長、なんとか言っ―…だめだ。
手を擦りむいてイタイのでそれどころではないらしい。
じーっと自分の手を見てる。

「あのさ、真中…


    バンソウコウ持ってない?


    副部長とは何でもないから!