男子トイレ 21:34
「真中、バンソウコウ持ってない?」

「もってません」

…そうだよな。

俺は副部長の手を取って、キズを見た。
皮が向けてる。それだけ。

真中がいなかったら舐めてあげるけど…

「斉藤、大丈夫だから…」

「あ、はい」

副部長は恥ずかしそうに手をひいた、
それから、

「やっぱり、電灯の調子は明日、庶務に見てもらおう」

と言った。?? …あ!

「そうですね、僕達じゃ危なかったですねー」

さすが副部長。ナイス言い訳!

真中は上を見上げた。

「電気…点いてますよ?」

「さっきはチカチカしてたの!ねぇ、副部長」

「ああ。…真中君、掃除なら手伝いを―…」

「いえ、もう終りましたから」
 
「―…そうか」

副部長は俺を見た。すっかりいつもの『副部長』だ。

「斉藤は?まだ帰らないのか」

「いえ、もう帰りましたから」

「は?」

「あれ?帰ったのになんでまた会社にいるんだ?
 …あ、そうだ。手帳忘れたのを取りにきたんだった」

「…早く用をすませて帰りなさい」


           はーい。