非常階段 21:16
コンクリートの非常階段に座りこんで
副部長の手を引いた。

「ここおいで」

「あ…」

膝の上に座らせる。
優しく髪をなでる。

「…落ちついた?」

「うん」

まるで大きい犬のようだ。
本当は俺より強いのに、本気だしたら俺なんて
全然かなわないのに、大人しく撫でられてる…

「かわいい…」

「……っん」

誰もこないし、このまま…

 ガチャン

非常扉の開く重い音。

誰か来る?

思わず振り向いて見上げると

「あ…うわ」

「えっ、あ、あー…ごめん」

副部長は膝の上でバランスを崩し、おちた。

踊り場まで3段程度落ちただけだが、
付いた手と滑って掠った足が痛そうだ…

『…誰か?どうかしたんですか?』



  階段を下りてきたのは―…