「真中、バンソウコウ持ってない?」
「もってません」
…そうだよな。
俺は副部長の手を取って、キズを見た。
皮が向けてる。それだけ。
真中がいなかったら舐めてあげるけど…
「斉藤、大丈夫だから…」
「あ、はい」
副部長は恥ずかしそうに手をひいた、
それから、
「やっぱり、電灯の調子は明日、庶務に見てもらおう」
と言った。?? …あ!
「そうですね、僕達じゃ危なかったですねー」
さすが副部長。ナイス言い訳!
真中は上を見上げた。
「電気…点いてますよ?」
「さっきはチカチカしてたの!ねぇ、副部長」
「ああ。…真中君、掃除なら手伝いを―…」
「いえ、もう終りましたから」
「―…そうか」
副部長は俺を見た。すっかりいつもの『副部長』だ。
「斉藤は?まだ帰らないのか」
「いえ、もう帰りましたから」
「は?」
「あれ?帰ったのになんでまた会社にいるんだ?
…あ、そうだ。手帳忘れたのを取りにきたんだった」
「…早く用をすませて帰りなさい」
はーい。