エレベーター前 20:38
「そんなんじゃない」

「じゃあ、どんなん?」

「さぁね」

俺は答えをはぐらかした。

こういう話しのネタにするのは双子に悪いと思う。

2人でいるとろくな話しにならない。
給湯室を出た。

下らない事を喋り合いながら歩いていると、

「お前、下行け」

佐藤が立ち止まって、エレベーターを指差した。

「なんで?」

「さっき村崎がお前のこと探しにきたんだぜ」

「…なんだろ。明日でいいんじゃね?
 それより佐藤、あの人いちおう年上なんだから、
 サンくらいつけてやれよ」

「斉藤」

「なに」

「村崎サンともやった?」

適当なのか鋭いのか…

「そんなことばっり考えてんのか」

「ああ、最近なんだか…」

「え?今なんて …うわ!」

佐藤がエレベーターのほうに俺を突き飛ばした。

「早く行ってこい」

自分はさっさとオフィスに帰ってく。

なんだあいつ…



        エレベーターで下へ