私は床に倒れた見習魔道士の腹を蹴り上げた。
げえげえ吐くのを背中に聞きながら
あばら屋を後にする。
「…待って下さい。待って」
黙って振り向くと、見習魔道士は愛想笑いを浮かべて言った。
「せめてものお詫びに、魔道門をお見せしましょう。
あなた方は魔道門というものをご存知無いでしょうが…」
私の変わりに忍が言った。
「ご存知も何も、その魔道門を通ってここまで来たんだよ、俺達は」
「そ…そうでございますか」
見習魔道士は蝿のように手を擦り合わせている。
「では目的はお終いで?」
「いいや、まだだが…」
忍が指示を仰いで私を見た。
うさんくさい。無視して戻る 使えるものは何でも使う