天君は僕とタイプが似ている。
…と言ったら女子達に怒られるかな。いや殺されるね。

かわいい弟タイプの子と遊ぶよりお兄ちゃんタイプの人に遊んでもらいたい。
そういうのが向いてるタイプなんだ、僕等は。

街を歩けば人がほっとかないだろう天君とは違って、
僕の遊んでくれるお兄ちゃんといったら1人しかいない。

洋兄ちゃん…。

洋兄ちゃん今なにしてるかなー。ちょっとは僕の事考えてるかなー。

「僕…イトコの兄ちゃん家に行くとこなんだ」
僕は、どこに行くの?という天君の問いに思わずそう答えていた。
「イトコのお兄ちゃんはやさしい?」
「うん。すごく優しいよ」
洋兄ちゃんの事を話してるだけで、こんなにも嬉しい。
「じゃ、僕行くね。またね、天君」
「うん。ばいばい。シリルもばいばいしようね」
え?

天君は噴水に手を入れたかと思うと、動きの鈍ったデメキンを水から上げた。
「ばいばーい♪」
指先で摘まれたデメキンはむりくりヒレをひらひらさせられて口をぱくぱくと…
ああああ。死んでしまう。デメキン死んじゃうって天君ーっっ。

僕はデメキンの無事を祈り、早く水に戻してもらえるようにと全力ダッシュでその場を去った。

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