「がんばれ勇士ー」

ビート板競争とはビート板に上半身を乗せ、バタ足だけですすむ競技なのだ。
腕は自由で相手側に波を立てたり、相手に水をかけたり出来るのだが、
ヘタに手を放すとビート板が飛んでいってしまうのでテクニックが必要なのだ。

勇士は余裕でトップを泳ぎ、しかも面識の無い先輩に向って暴言を吐き、水をかけている。
応援する人も泳いでる人もワーワー騒げるのが楽しくて興奮する。
僕も、もう一度叫んだ。
「勇士ー。かっこいいー」
「あ」
「うわあっ」
バシッ。
勇士のビート板が僕の顔面に飛んできて当った。
びっくりしたし結構痛かったのに
「あーもう、お前のせいだからな。早く、拾え、拾え、もってこいっ」
と、怒られる。…なんで僕のせいなんだよう。
勇士は僕に拾えと言いながら自分で拾ってレースに戻った。

結局、最下位になった勇士はもう1回他の人達と勝負するようだ。

…見てるのは楽しいけど、ここはキケンだ。

僕はプールから上がって見学する事にした。
そうだ、バスタオルを取ってこよう。

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