「とりあえず、何か飲もうよ?」
敷地の中間あたりに飲み物が飲めるバーや軽食の屋台が出てるスペースがあった。
親子連れの親達やカップルが、白いテーブルでゆったり休んでいる。
予想外に天君はふるふると首を横に振った。
「えっと、遊ぶ」
「泳ぎたい?」
「う、うん」
…そうなのかなあ。もしかして僕に気を使ってる?
「じゃあ、ウォータースライダーしたいな僕」
ガ―ン。
と、天君の顔にかいてある。
天君は思ったことがすぐ表情に出るからおもしろい。
思わず僕は笑ってしまった。
「どこで遊ぶか、何か飲みながら相談しようよ」
「うん」
天君は頷いた。
「この椰子の木、本物かなあ」
「ボク本物だと思う」
「あの実も?」
「うん。だってあそこで売ってるもの」
たぶん、偽物の実をつけた本物の椰子の木の、下のテーブルに僕達は腰掛けた。
「あれ高いのかなあ…。天君あれ飲みたい?」
「前に飲んだけど美味しくなかったの」
「ふーん、そんなもんか…」
話してたらテーブルに影が差した。僕の後に誰か立ってる。
「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」
へ?なんで?そうなの?
こういう所って自分で買いに行くものでしょ?ほら、テーブルにメニューなんてないし…
と、いうか、この声…
「洋兄ちゃん!」
「…反応が遅い」
洋兄ちゃんが見た事無い格好して僕の後に立っている。
天君が不思議そうに首を傾げた。
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