白いシャツと黒いパンツ。
「洋兄ちゃん、ボーイさんみたい…」
そう僕がいうと、洋兄ちゃんは大袈裟にがっくり肩をおとした。
「そのボーイさんなんだけどな」

「夏木君、えっと」

「あ、ごめん。この人僕のイトコの洋兄ちゃん」
「洋時です。こんにちは」

「洋兄ちゃん、こっちは天君。同じクラスなんだ」
「天野です。はじめまして」

「俺も天君って呼んでいいかな?」
「はい」
「キミ、かわいいね。よく言われるでしょ」
 ムカ。
「兄ちゃん、兄ちゃん。僕は僕は?」
「はいはい。かわいい、かわいい」
「なんで2回言うのーっ」
「涼が2回言ったからだろ。飲み物奢ってやるよ。ちょっと待ってな」
「むー…」

兄ちゃんは店のほうへ歩いて行った。
後姿を眺めてると、天君が僕にこう言った。
「夏木君のお兄さんかっこいいね」

           「僕は?」

           「かっこいいでしょ!」