ドリンクバーってどこだろう?
敷地内を見まわすと、中央に休憩のスペースと店が見えた。
「あそこですよね?僕、並ぶの飽きちゃったから行ってこようかな」
「また会ったら一緒に泳ごうね」
「はい」
僕は手を振って長い列から放れた。

1人はやだなーっと思ってたから、話しをした事ですこし気が晴れてる。

「これ使えますか?」
ミニスカートのお姉さんに券を見せると「使えますよ」とにっこりしてメニューの紙をくれた。
アクアマリンとかハイビスカスとか西海岸とか、そんな名前ばかりで何が何やらわからない。
どうせ食べられないものが名前になってるなら洋時ってのもあったらいいのに。
「早くして下さい、お客様」
「すっ、すいません…ん?」
あったよ、洋時。なんで??

僕はカウンターの中で笑ってる洋兄ちゃんにパニックした。

「なにしてるの洋兄ちゃん???」
「バイト。それよりお前、この券どうしたんだ?俺はプール券しかやった憶えないぞ」
「プール券、1枚しか使わなかったから、余ったのあげたらソレくれた」
「まさか1人できたのか?」
「うん」
「…さみしいなあ、お前」
「うん」
「うん、じゃないだろ…。ほら、あっち座って飲みな」
洋兄ちゃんは話しながらグラスに注いだ飲み物を僕に渡した。

薄緑の飲み物は、僕好みの味がした。
  
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