僕はたまらずその背に近付いて、抱きしめてあげた。
「…だって、さみしそうだったから」
何かを言いかけた彼に先にそう言うと、彼はまた短く笑った。
「さみしくなんかない。ただ…最近行き詰まりを感じて苛立っていただけだ」
「僕…僕で何か役に立てる事があったら…もしも…」
僕は彼から離れた。
思わず言ったけれど、僕なんかが彼の役に立てるはずがない…
彼は振り向いて僕をみた。
彼が1歩動いた。と、思った次に、僕は彼に抱きしめられていた。
「あ…っ」
「さみしそうだったから…」
彼は優しい声で僕にそう言った。それから、
「今度、キミの写真を撮らせてくれないだろうか。きっと、いい作品になると思うんだ…」
耳元でささやかれた時、僕は恋におちた。
ううん、さっき1人でさみしかった僕に声を掛けてくれた時からずっと…
「僕、あなたが好きです」
「…かわいいなキミは」
彼はそう言ってくれたけど僕の体を放した。
不安になった僕に笑いかけると「そのまま、動かないで」と言った。
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