僕と天君は一度家に水着を取りに戻り、
また公園に待ち合わせした。
それから徒歩で近くの市営プールに向った。
ここには3つのプールがある。
浅い赤ちゃん用のプールと、普通のプールと、競技用の深いプール。
目当てにしていた普通のプールには結構な人がいた。
「あー…混んでるねえ、天君」
僕がそう言うと
「うん」
と、天君は浅いプールの方を見ながら返事した。
…もし空いてたら、僕等はあのプールで水遊びする事になったんだろうか。
「あっちのプールは空いてるけど…天君には向かないかな?」
「…ボク、それでいいの」
「そう?」
「待ってて、コンタクト外してくるの」
そう言うと天君は小走りに更衣室へ戻り、すこしして、
慎重に1歩1歩踏みしめて歩きながら戻ってきた。
「…天君、大丈夫?」
「どこに何があるのかはわかるの」
「僕の事、見えてる?」
「どんな顔してるかは見えないけど、どこに顔があるかは分かるの」
「心配だなあ…」
「大・丈・夫!」
1人で歩こうとした天君と手をつないで、僕は大人向けのプールへ向った。
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