プールの敷地の中央。テーブルが並んだ休憩スペースと店がある。
「あっちに行こう」
と、指差して僕は、その指先にあるものを見つけた。
…あれ??
「どうかしたか夏木」
「兄ちゃんだ…」
「……兄ちゃん?券をくれた?」
「うん」
そうだ。洋兄ちゃんがボーイさんの格好してドリンクバーにいる。
水着のお姉さんににこにこしながらピンクの飲み物を渡してる…
「……同じ物ください」
「お、涼。早速来たのか。1人か?友達連れてこなかったのか?」
友達ならまだ向こうにいるよ。
僕、沢村おいて走ってきたんだもん。
沢村も走ったり歩いたりしながらやって来た。
僕は2人にそれぞれを紹介した。
「兄ちゃん、ここでバイトしてるなら奢ってよ?」
「チケットやったんだから、飲物くらい自分で買ってくれ」
「…夏木、何にする?」
「何でも頼んでいい?」
「ちょっと待て、涼。お前、友達に奢らせるつもりか?」
「だって沢村がいいって言ったんだもん」
「友達と金銭の貸借を作っちゃダメだぞ、涼」
「むー…」
「…だったら余計、払わせてくれないか。チケットと飲物で貸借なしという事になる」
兄ちゃんはダメって言うし、沢村はいいって言う。
どうしよう。
洋時の言う事をきく。
沢村の言う事をきく。