「スライダーに行こう!」
夏といえばプール。プールといえばスライダー。
特にここのはコースが長くて高さもあって有名なんだ。
天君は首をかしげた。
「スライダーってなあに?」
「ほら、あれ。水の滑り台だよ。天君もやった事あるでしょ?」
僕の指差した先を、天君はじっと見つめた。
言ってる側からまた1人、客が水の滑り台を滑った。
高い位置から右へ左へくねって降ちるコースに楽しそうな悲鳴が上がる。
「……死ぬ」
「あ、天君?」
「僕がいなくなった後シリルは泣くかしら…」
「やめましょう。スライダーはやめとこう」
想像しただけで気が遠くなられたのでは仕方がない。
「あ、あそこ座ろうか。ね?」
良い場所を見つけた僕は、スライダーを差していた指を別方向へと向けた。
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