僕と天君は一度家に水着を取りに戻り、
また公園に待ち合わせした。

バスを使って遊園地まで向う。

遊園地前の駅で降りて、プールに入る為に専用門へと歩いた。
遊園地入場門の前を通るとき、天君はじいっと門を見ていた。

僕に、大人みたいに自由に使えるお金があったら、
天君を中に連れていってあげられるのにな…

門の向こうからは楽しげなメロディが流れてくる。

「天君、遊園地の券を貰ったら、必ず誘ってあげるからね」
「い、いや、だめ」
「…。イヤは分かるけど、なんでダメなの?」」
「ボク恐いの、遊園地」
「あ、乗り物とか館とか」
「あと、あんなの…」

天君は僕のシャツの裾を掴んでから、遊園地入口門に施された装飾を指差した。
…なにが恐いんだろ。大っきくてきれいな天使像がゆっくりと羽を動かしているだけなのに。

幸い、プールの入口は簡素な鉄門だった。
コスチュームを来た係員さんに券を渡し、手の甲に見えないスタンプを押してもらって中に入った。


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