男子トイレ20:45
ザー…

勢い良く手洗いの水を出す。

「副部長、手を冷やして下さい。
 …もう、ほら、早く」

ぼけっとつっ立ってる副部長の袖のボタンを外し、
手をとって水を浴びせた。

「火傷するほど熱くもなかったから―…」

「ダメですっ。今はよくても後から痛みがくるんですよ
 ちゃんと冷やしとかないと……あ、ちょっと」

重なった腕に重みが乗った。
副部長は俺の肩に顔を埋めた。

「あっくーん…」

「ちょっ、ダメですって副部長。人きますってば、
 ネ、みーくん いいこにしてて?」

「ん〜…」(いやいやするように首を振った)

みーくんこと実利さんこと暮崎副部長とは、
半年ほど前、飲み会で泥酔して帰れなくなり
副部長のマンションに泊めてもらってからの
付合いになる。

それから何度となく関係をもって親しくなった。

プライベートの副部長は
甘えんぼの子供体質なのだ。

しかし、その顔を会社で見るのははじめてだ。


  誰か来たら…副部長、困ります。

 
  よしよし、みーくん どうちたの?