ザー…
勢い良く手洗いの水を出す。
「副部長、手を冷やして下さい。
…もう、ほら、早く」
ぼけっとつっ立ってる副部長の袖のボタンを外し、
手をとって水を浴びせた。
「火傷するほど熱くもなかったから―…」
「ダメですっ。今はよくても後から痛みがくるんですよ
ちゃんと冷やしとかないと……あ、ちょっと」
重なった腕に重みが乗った。
副部長は俺の肩に顔を埋めた。
「あっくーん…」
「ちょっ、ダメですって副部長。人きますってば、
ネ、みーくん いいこにしてて?」
「ん〜…」(いやいやするように首を振った)
みーくんこと実利さんこと暮崎副部長とは、
半年ほど前、飲み会で泥酔して帰れなくなり
副部長のマンションに泊めてもらってからの
付合いになる。
それから何度となく関係をもって親しくなった。
プライベートの副部長は
甘えんぼの子供体質なのだ。
しかし、その顔を会社で見るのははじめてだ。
誰か来たら…副部長、困ります。
よしよし、みーくん どうちたの?