ザー…
トイレに向かうと、副部長は手を洗っていた。
…正しくは手に流水を当てていた。
俺が来たのに気付いたくせに、
こっちを見ようともしない。
「袖、濡れてる。ほら…」
横から彼のシャツの袖ボタンを外し、上に2回折った。
そういえば、上着を着てない姿は珍しい。
社内でも、いつもきちんとしてる人だから―…
「……あ、ちょっと」
重なった腕に重みが乗った。
副部長は俺の肩に顔を埋めた。
「あっくーん…」
「ちょっ、ダメですって副部長。人きますってば、
ネ、みーくん いいこにしてて?」
「村崎はいいのに?」
それを言われると弱い…
みーくんこと実利さんこと暮崎副部長は、
プライベートでは甘えんぼの子供体質なのだ。
嫉妬するかと心配したら、
どうやらさみしくなったらしい…
やっぱりダメです。困ります副部長
ごめんねみーくん。悪かったよ