男子トイレ20:45
ザー…

トイレに向かうと、副部長は手を洗っていた。
…正しくは手に流水を当てていた。

俺が来たのに気付いたくせに、
こっちを見ようともしない。

「袖、濡れてる。ほら…」

横から彼のシャツの袖ボタンを外し、上に2回折った。
そういえば、上着を着てない姿は珍しい。

社内でも、いつもきちんとしてる人だから―…

「……あ、ちょっと」

重なった腕に重みが乗った。
副部長は俺の肩に顔を埋めた。

「あっくーん…」

「ちょっ、ダメですって副部長。人きますってば、
 ネ、みーくん いいこにしてて?」

「村崎はいいのに?」

それを言われると弱い…

みーくんこと実利さんこと暮崎副部長は、
プライベートでは甘えんぼの子供体質なのだ。

嫉妬するかと心配したら、
どうやらさみしくなったらしい…




   やっぱりダメです。困ります副部長

 

   ごめんねみーくん。悪かったよ