正門前20:20


個室から飛び出て、いかにもさりげなく
鏡の前で髪など直してみる。

足音に共に、鏡に同じ顔が2つ映った。
三面鏡を見ているようだ。
正門守衛の双子の兄弟…

「斎藤さん〜」×2

「はい…」

見付かってしまった…
しかもこんな逃げられない場所で

「こいつとは遊びでしょ」
「僕とこいつを間違えたんでしょ?」

「こいつとはなんだよ!」
「おまえこそ!斎藤さん、好きなのは…」

「どっち!?」×2

「は、ははは……は?」

後で鍵の開く音がした。
忘れてた…副部長もいたんだった…

「…あっくん、どういうこと」

!!!!

絶体絶命!

逃げようと思った瞬間、両腕を捕われた。

右と左から同じ顔。ステレオボイスで…

「ど、う、い、う、こ、と、で、す、か〜」

…こわい。
すいません双子さん達これは…


     副部長に誘われたんです。


     俺が副部長を誘いました。