佐藤里志■25歳
暗くて狭い部屋、ここだ!!
掛け込んで、隅っこで体育座りする。
はー…、疲れた。
息切れと脇腹痛いのが治まるまで、ここで休もう…
…と、思った途端に明りが点いた。
「わー!!」
「ん? …なにやってんだ、サイトー」
「…あ、サトーか」
電灯のスイッチを入れたのは、同期の佐藤だった。
落ちついて辺りを見渡す。
流し台。ポット。コーヒーメーカー。布巾。
「ここ、給湯室か…」
「あたり前だろ?」
佐藤は冷蔵庫を空け、紙バックのジュースを出した。
きれいに並べてあった湯のみを取って、注いで飲む。
「ん、斎藤も飲みたいのか?」
「いらん。…だってそれ他人のだろ」
「ちょっとくらいわかんないって」
アバウトな奴…
わからないから大丈夫といった端から、
使った茶碗をそのまま流しに置いて終わりだ。
注意しても絶対洗わないから、俺が洗う…
「斎藤って、マメだよなー」
「ああ、ホモだから」
「なんだそれ?」
女の子にやってもらおうと思ってないからな、俺は。
佐藤はノーマルだ。
だけど、何次か寝たことがある。
細かい事は気にしない佐藤とは良い友達だ…
「ところで斎藤、こんなとこで何してんだ?」
それは…
追いかけられて隠れている。
忘れ物したから帰ってきた。