「僕もプールに入りたいなあ…」
「入る?」
呟いた僕に天君はそう言うと、噴水を指差した。
「…入ってもいいけどさ」
天君がこの中で水遊びしてたら絵になるけど、僕は速攻怒られちゃいそうだなあ…
かわいそうな自分を思わず想像していると、天君は天使のような微笑でこう言った。
「夏木君は優しいねえ」
「…。それ、まさか僕に早く入れって言ってる?」
「ちがうよ?だって、他の男子みたいにすぐバーカって言わないもの」
「んー、どっちかって言うと僕、バカって言うより言われる方なんだよねえ」
僕は部活の友達の顔を思い出した。
「じゃあ、いっしょだ」
「あ…」
天君は僕の手を握った。
深い意味は無く、ただ、仲良しとして触れた手。
僕の顔を見てまたにっこり笑い、手をつないだ子供が歩くときのように数度、
大きく腕を前後に振ってからその手を放した。
どうして女子達があんなに天君をかわいがるのか分かった。
外見だけじゃない。この子はかわいい…
天君は僕の手を離して、ぱちゃぱちゃと水を触った。
僕も水の中に手を入れた。
ぬるい水だけど、濡れた腕は微かに涼しい。
「天君、泳ぎに行かない?僕等もプール行こうよ」
そう言うと天君は小鳥のように首をかしげた。
「ボクを誘ってくれるの?ボクと遊んだってつまんないって思わないの?」
「うーん、天君がイヤだったら無理にとは言わないけど…」
「ううん、イヤじゃない。あのね、うれしい」
「じゃ、行こうか」
「うん」
とはいってもどこで泳ぐか…
遊園地のプールへ
(これまでの分岐で無料券を手に入れている場合のみ)
なければ市営プールへ