僕は天君を連れて、広くて浅い方のプールに入った。
「…ここ、子供ばっかり?」
「だって、見えないんじゃ危ないでしょ」
浅瀬から始まる広いプールは、
くるぶしの高さから水位が始まって、1Mの深さで止まる。
小学生の子供達が深いところに、ほとんど赤ちゃんの小さい子供が浅いところで遊んでた。
時折、おだやかな人工波が打ち寄せる。
とりあえず中に入ってみたものの、この平和な水場で何をすればよいものか…
「お」
僕の目の前にビーチボールが滑ってきた。
髪を両サイドで結んだ幼稚園くらいの女の子が頑張って水をかきわけこっちに来る。
僕は彼女にボールを渡してあげた。『あいがと」と言われた。かわいい。
振り向くと天君も幼稚園くらいの子につかまっていた。
子供が何人か、彼を見上げてまわりに立っている。
「夏木くん、代わりに見て。ボクの近くにコドモいるよね?」
「うん」
「この子達、なにしてるの?」
「さぁ?」
たぶんきれいなお兄ちゃんがいるから見てるんじゃないかなあ。
子供といえども僕の天君(今は)を勝手に見ないようにっ。
あっち行けとも言えず、僕は天君を連れて移動する事にした。
「えーと、天君、
あっちの深いプールに行こうね。
もう出ようか。