「コンタクト付けてても大丈夫?」
「うん」
「…やっぱり、一緒に色々見たりしたいよね。僕1人でわかってもつまんないもん」
「うん」
天君は嬉しそうに微笑んだ。
更衣室を出ると、プールサイドに植えられたたくさんの木と
その木々の間に置かれたオブジェがまず目に入る。
「すごいよねー、天君見てよアレ。ほら……天君?」
天君は僕が指差した水竜のオブジェを難しい顔でじいっと見ている。
この顔はさっき遊園地の門で見た…
「天君?」
「帰るう」
「どうしてこんなのが恐いの??全然平気だって、これは動かないからほら」
「いーやー」
大きな置物の方へ腕を引っ張ると絶叫されてしまった。
むこうの方で同じように、人魚姫像の前で子供が泣いている。
僕も幼稚園の頃、お祭りの大きな作り物なんかが無性に恐かったけど…。
そうか、同じレベルか…
「プールには何もいないから。だから行こうよ。ね?ね?」
「うんん…」
不承不承うなづくと、天君は僕の後ろに付いてきた。
まるでお化け屋敷にいるみたいに僕の腕にすがりついてる。
誰かに頼りにされた事なんて今までないから、余計にかわいいなーっと思ってしまう。
植え込みの通路を抜けると広くまぶしいプールが目の前に開けた。
いくつもの種類のプールがある。天君も瞬きしながら見渡した。
「どれから入ろうか天君」
「こわいのがない所」
「はいはい」
天君はコンタクトしてるし、泳ぐ目的のシンプルなプールはダメだな。波のプールも危ないか。
「とりあえず…
スライダーに行こうよ!
ジュースでも飲もうか。