「プール・プール・プール」
楽しい夏休み。
今日も大好きなイトコの洋兄ちゃんに遊んでもらおうと
自転車を飛ばしてやってきた僕は、丁度、外に出て来た
洋兄ちゃんの姿に喜んだのも束の間、その隣に
彼女を見つけて一気に落胆した。
このまま帰ろうか。そう思った時、洋兄ちゃんと目が合った。
「よう、涼」
「あら、こんにちは」
隣の彼女も僕を見てにっこり笑った。彼女には前にも2回会った事がある。
…洋兄ちゃんと遊べるなら僕、それでもいいんだけど、おまけでいいんだけど、
僕も一緒に遊んでくれないかなあ。
こっちに歩いてくる洋兄ちゃんに僕は心でそう願った。
でも洋兄ちゃんが考えていたのは彼女の事だったらしい。
「涼、ちゃんと返事しな。こんにちは、は?」
「こんにちわー…」
「はい良くできました」
俺の頭を撫で、髪をくしゃくしゃにする。
「洋兄ちゃん…」
「ところで、今日はどうした?何か用だったか?俺はこれから出かけるんだが」
「えっと、僕―…
通りすがりだと誤魔化す。
正直に会いに来たと言う。