僕はコンビニにやって来た。

何かを買いに来た時も、用もなく寄っただけの時も、
コンビニに入ったらまず雑誌コーナーに行くのが僕の習慣だ。

雑誌の棚の前には立ち読みの先客が2人いた。
手前にサラリーマンと、その奥には僕と同じ歳くらいの…
「あれ、勇士」
「…涼か。今日も暑ちいな」
1学期まで同じ部活で友達だった潮勇士がそこにいた。
「うん。暑いねえ」
勇士と話したらサラリーマンは場所を離れたので、僕が代わりに彼の横に立った。

勇士は僕よりちょっと背が高い。
ランニングシャツから伸びた腕は日焼けして筋っぽく、男らしかった。
学校で会うのとは別の人みたい。
きっと、知らない人がみたら僕より年上にみえるんだろう勇士は。

「何じろじろ見てんだよ。この本買うならそこにもあるぜ?」
「え、ああ、うん。勇士、何の本見てんの?」
「…いいだろ別に」
「あ、サッカー」
勇士は本を棚に戻すと別のテレビ雑誌を手に取った。

僕達はサッカー部だったけど、今はもう辞めた仲間だ。

僕は洋兄ちゃんが家の近くに越してきたから嬉しくて、もっと遊んでもらおうと思って
やめたんだけど、勇士はサッカーが好きだから退部したんだと思う。

僕の高校は運動にあまり熱心ではない。皆で楽しくやろうってのが各運動部の方針だから、
勇士みたいにきちんと出来る人にはそれがストレスだったのだろうと思う。

それでも、続けていればよかったのに。
ボールを追う勇士はかっこよかったのにな…

「あーあ、なんかおもしれえ事ねぇかな」
僕の視線が鬱陶しそうに勇士は言った。
「だったら……

            サッカーしよう。

            プールに行こう。