「信じるもしんじないもあるかああ、
貴様じゃないなら連体責任だ!死ね、貴様が死んで私に侘びろ!!」
「ヒィィィイ」
魔道士のローブの首元を掴み、そのまま私の目線まで持ち上げる。
言うだけ言って、頭突いた。
「ぎゃん!」
一声叫び、
魔道士の首ががっくりと倒れる。
「きゃあ、こわれ たの」
「あーあ、ちゃんと尋問しろよ王様よ」
気絶した魔道士を放り投げて捨てる。
はずみで口内を噛んだのか、その口からつうっと血が一筋零れた。
「…お前達、何をしている」
見ると、忍も銅も私に文句だけつけ、
自分達はそれぞれ魔道士の家の棚を物色している。
「本はおもしれぇなあ。俺、字は読めねぇけど、
こういう絵を見んのはおもしれえと思うぜ」
「ゆび わ。ゆ びわ。きらきら。銅 きれい はスキ」
「気に入ったものは貰っていけ!
迷惑賃だ。構わん、王が許す」
忍と銅は顔を見合わせ、それから棚に跳び付いた。
「こういうの懐かしいぜ、俺、傭兵の前は盗賊団にいたんだー」
「いい の?こ れ銅の?」
素直でかわいい家来達が
持てるだけの品物を次々と腕に抱えてゆく。
お前達の喜びは私の喜びだ。
今日も一つ、良い王として良い行いができたな。
神よ、見ていてくれましたか。
さて、私も何か貰おうか。
ふかふかした織物 上等な酒 魔道士の身体